これからCELTAに挑戦してみたいと検討中の方と、どんな人がCELTA講師になれるのか気になる学習者の方のために、私が2008年6月にロンドンで受けた4週間の intensive courseのときを思い出して書いてみます。
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まず、一般的なCELTA の受験資格と、
当時の私のスペックを比較してみましょう。

 

(1)はっきりとした年齢制限は無い(ただし2つ目と3つ目の条件により、21歳以上を推奨)
   ←6月コースへの申込みが4月一杯だったので、4月生まれの私は21歳になりたてで応募できた
(2)大人の学習者に英語を教えるための適性があること(基本的には、大卒であること)
  ←6月のコース開始時までにイギリスの学部3年制のうち第2学年まで修了している予定だった
   映画の面接シーンとかから学んで大人な受け答えに努めた甲斐もあってOKしてもらえた
(3)最低でも大学入学レベルの学力があること(高卒と大学在学生はお断りの研修センターも)
  ←私はQueen Mary, University of Londonに在学中ということでOK
   ちなみに私の応募した研修センターは、大卒でなくともSixth Former修了者で21歳以上なら受け入れてくれていました
(4)RP (Received Pronunciation)かInternational Standard Englishで授業ができること
  ←ロンドン大学の音声学の教授にRPも叩き込まれていたので発音は問題なし
(5)英語が話せること(外国人の場合は目安として、IELTS 8.0以上か、直近2年以内に英語圏で12ヶ月以上学生をしていたか18ヶ月以上就労していたこと) 
  ←応募の時点で、まだ7ヶ月しか英語圏に在住経験がなかった
   面接の結果として、発音は完璧でも時々言葉に詰まる部分も見受けられた

CELTA intensive course受講を許可されるまで

申込用紙を持ち込んでの応募時に、15分くらいでできるテストで文法の正しい用法を選べるかと発音をチェックされました。採点の後、テスト結果のフィードバックも含めて20分くらいで、なぜCELTAを受験したいかなど1対1で質疑応答形式の面接がありました。
私はテストの成績はとても良かったのですが、受験資格の(5)に引っかかって、研修センターからはコース受講を許可すべきか相当悩まれました。

CELTAはそもそもネイティブのイギリス人向けの教員資格なので、7ヶ月しか英語圏にいない外国人がCELTAに挑戦するというのも、最年少で日本人学生がCELTAに挑戦しに来るというのも、過去に全く前例のないことだったそうです。自己申告しなければ、移民で長年イギリスに住んでイギリスの教育を受けてきた子にしか聞こえなかったと教官は言ってくれましたが、実際に滞在期間を聞いてしまうと受講を許可して良いものか悩みどころだとのことでした。

私からも正直に、他の受験資格も要素も含めて私がCELTAを受けたいというのは無理なお願いをしているので受講を断られても仕方がないと最初から覚悟して来ていること、たった7ヶ月の学部生活を通じて自然に身につく会話力には限りがあったことも自覚していること、だからこそ留学中に映画をたくさん観て色々なシーンでの会話を学んだこと、面接中に私が時々言葉に詰まったのはまだ英語で次の言葉を探しながら話しているからだということを打ち明けました。

最終的には、7ヶ月でここまで英語を身につけたポテンシャルに期待して、研修センターとしてもできる限りのサポートはするし、私がそれに応える努力を惜しまないと約束できるならと、寛大にも特例的に受講を認めてもらえました。
CELTA intensive course は通常6ヶ月〜1年かかる研修を4週間で集中的にこなさなければならないので、ネイティブのイギリス人でさえ合格に辿り着くのが大変ということで、私の受講に際して幾つか追加で条件がつけられました。
(a) 6月のコース開始時までに英語でスムーズに受け答えができるように努力すること 
(b) 放課後は大卒でないメンバーとパートナーになって、私が論文の書き方を教える代わりに、私の日常会話での言い間違いをその都度直してもらうこと 
(c) CELTAの教育実習で先生になっている間は、絶対に英語で言い間違えないこと
 
Queen Mary, University of Londonでは5月が期末試験期間中で講義はお休みなので、(a)に関しては試験勉強の合間に映画を英語字幕付きで観まくってはセリフを一緒に言ってみたり、夜な夜な大学の友達とパブやナイトクラブに出かけては色んな年代の人と語り合ってきたり(試験前に遊んでるように聞こえますが、ちゃんとCELTAのための勉強ですよ!!)いろいろ工夫して努力しました。

(b) に関しては、パートナーになった子とお互いに不得手なところを相手の得意なところで助け合えて、素敵な友達になれたので、私にとっても嬉しい条件でした。

(c) に関しては、「もうやるしかない」って感じでしたね。 授業中に言うことを全て台本みたいに書き出しておくほど準備時間的に余裕もないし、生徒から質問もたくさん来るのでその場で対応するしかないので、事前に自分の喋る英語を用意して練習する訳にもいきません。でも英語の授業中に教える側の先生が英語間違えたら大変だから、とにかく絶対に一言も言い間違えちゃいけない。
でも授業って、その言語がどれだけ完璧にできるかというテクニカルな部分に自信があるよりも、どれだけ教えるのが上手かによって生徒の反応も変わってくるそうです。私は高校時代の夏休みに2〜3週間通ったイギリスの語学学校で素晴らしい先生たちに英語で英語を習った経験も幸いし、自分も外国人として英語を勉強してきたからこそ生徒にとって英語のどこが分かりにくいか、どう教わったら分かりやすいのかも身をもって知っているので、教える技術に関しては全然困らず緊張せずに授業に臨めました。40分の授業中ひたすら頭をフル回転させて、一言も英語で言い間違えないように気をつけるしかなかったですが、緊張していなかったので何とかちゃんとできました。